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NO-NAMEの隠れ家

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井上陽水

作品レビュー

35thシングル
『Make-up Shadow』
(1993.7.21)

井上陽水なんてまともに聴いたことないぞ!80年代生まれの僕のような人にとっては、陽水と言えば『少年時代』のイメージしかない。あとは『夢の中へ』か。『氷の世界』!?『傘がない』!?なんじゃそりゃ!?ってな感じ (笑)。
奥田民生との共演でやや注目をしながらも、1999年の大ヒット『GOLDEN BEST』もスルーしてしまった。「天才、天才」と言われているのも耳にしますが、確かに奇抜なオジサンではあるものの(おい!)いまひとつピンと来ません。
そこで、やっと彼の曲をしっかり聴いてみようと思って選んだこの8cmシングル。うん、これなら知ってる。っていうか、これは彼のキャリアでは『少年時代』に続くヒットシングルではないですか。レコ大の金賞受賞曲ではないですか。何故か最近になってトヨタのCMソングとしてON AIRされていたので耳にも残っていました。それに合わせてか何なのか、マキシシングルで再発売までされたようです。あの「初めての~♪」っていう歌い出しの曲です。知ってる知ってる!上原多香子がカバーしたことまで知っている(笑)。でも、オリジナルを1曲通して聴いたことはこれまでなかったですね。なんか不思議。
この曲は、作曲が彩目映、編曲が佐藤準と、陽水さん自身は曲作りには関わっていないのですが、しかし、その怪しげな魅力を伴った独特の声でねちっこく歌う歌唱法は存在感抜群。この人が歌うというだけで、それがオケどうこうよりもまず先に強烈な個性となっています。でもって、尚且つこの曲はオケがまたカッコイイですね。打ち込みサウンドが一気にリスナーを曲世界に引き込みます。リズムを刻む打ち込みは、ひとりその音だけ聴いていれば古臭さを感じなくもないですが、それが他の音色と重なって調和され奏でられると、今でも十分通用する、むしろ新鮮な印象を与えます。2番のサビで左チャンネルで鳴っているシンセがまた近未来的な味付けに一役買っています。メロディーも凄くいい。「あこがれは~♪鮮やかな~…♪」のメロディーなんてサビよりも好きです(笑)。
それから、触れておきたいのが歌詞。彼が「天才」と呼ばれる所以も、この部分での影響が大きいのでしょうが、なるほど確かにその言葉選びのセンスは独特です。「二匹の豹のサファイヤルビーのあの口づけ」・「ロンリーサマーシャドウ」・「イライザブルー」・「ミクロ微粒子」と、聴きなれない言葉が並んでいますが、この曲の近未来的でちょっと怪しげなイメージにこれがよく合います。要所で韻を踏んでいるのも印象的。「誰かにバッタリ」・「恋が芽生えたり」とか。あっと言う間の4分8秒。楽しかったです。
カップリングの『プレゼント』は、陽水さんと佐藤準の共作によるミディアムナンバー。こちらもリズムは打ち込み。小粒ながらまったりとした佳作。
さて、もう少し他の曲も聴いてみようかな。

1.Make-up Shadow ★★★★
2.プレゼント ★★★

(記:2007.6.8)


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